コラム〜2000年代アニメを準備した作品〜

デジモンシリーズ

 『デジモンアドベンチャー』が1999年、『デジモンアドベンチャー02』が2000年、ちょうど90年代と00年代の橋渡しになっている。思うに、私と同世代でアニメに執着のあるひとの多くはデジモンシリーズを通っているのではないだろうか。それは、私が、『アドベンチャー』と『02』で「物語」というものを知ったからだ。『テイマーズ』(2001年)や『フロンティア』(2002年)になるとついていけなかったけれど。山陰地方に住んでいた私は観るアニメといえばデジモンくらいしかなかったが、ただのお子様向けアニメにとどまらない何かがあったのだと思う。
 デジモンシリーズが今のアニメに与えたものは何か。ひとつ挙げるならば、『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999〜2002年)とともに土日朝のアニメを活性化させたことではないだろうか。テレビアニメの主戦場がゴールデンタイムから土日朝へと移る過渡期を象徴しているのが、『どれみ』と『デジモン』の両タイトルだと思う。

おジャ魔女どれみ

そういう意味ではこの作品も重要。ただ、この作品は、小さな女の子と成人男性の両方で盛り上がっていたフシがあり、小学校高学年男子というぽっかり空いた層だった私はいまいち乗り切れなかった。私のひと世代下とひと世代上のための作品という印象が強い。それでも、オリジナル作品で成功したどれみは、紛れもなくプリキュアシリーズの下地を作ったのだと思う。

彼氏彼女の事情

1998年の作品だが、わたしは中学生のとき、つまり2000年代に入ってから視聴した。きわめて実験的な映像が展開されていたので、「アニメでこんなことができるのか」と驚いた記憶がある。わたしがシャフト作品を観ても斬新だと思わないのはこの作品を先に観ているからだ。多くのシャフト作品の演出はこのアニメの焼き直しに過ぎないと思っているが、そんなことを声高に言うとバッシングされそうだから困る。ともかく、シャフトアニメのような前衛的演出を売りにした作品の流行を考えるときに、この作品は避けて通れないと思う。化物語カレカノは、つながっている。

To Heart

1999年放映。ギャルゲー原作アニメの初期の成功作。UHFアニメの元祖のような作品でもある。

カードキャプターさくら

1998年〜2000年放映。もともと少女向けアニメにあったオタクを惹きつける要素がさらに色濃くなった作品。ただ私はこの作品は通っていない。放映当時、習い事があって観れなかったのだ。そもそも男子が観るには恥ずかしかろう。しかし、この作品で落ちた同世代のオタクも多かろう。ただ、NHKアニメを軌道に乗せたという意味でも重要。上のToHeartとともに萌えの始祖的くくりをされることもある。

カウボーイビバップ

1998年作品。一時期深夜帯においてクール系アニメと呼ばれる作品が大量に出現したが、ほとんどがこの作品の影響下にあるといっても過言ではない。

新世紀エヴァンゲリオン少女革命ウテナ機動戦艦ナデシコスレイヤーズ……

これらの作品はどれも偉大なので、敢えて詳しくは触れない。私はこれらの作品をすべて後追いで「勉強」した。

ほかにもいわゆる『サヴァイヴ系』の先駆けともいえる『無限のリヴァイアス』(1999年)、まさに2000年代を先取りしていたと評される『serial experiments lain』(1998年)などが代表的な作品として挙げられる。