• 銀座。特に書くことはない。大学生には縁のない店が並んでいる。田舎ものの俺には銀座の存在意義がいまいちわからないだが、存在意義はきっとあるのだろう。
  • 3年半ぶりに赤門を通った。東大には一度見学にきたことがあるのだ。あのときはまだ国立志望だった。理数科目を投げて、東大も京大もあきらめた。
  • これはわかる奴にはわかってしまうのだが、東大には一人友人がいる。彼には頭脳においてなにもかなわなかった。特に理系科目は人に教えられるレベルだった。一方俺は理系科目を挫折して、切ってひと悶着あった。俺が得意だったのは世界史と英語だけだ。現代文なんて問題の解き方がわかるわけなかった。東大や京大に受かるようなやつは頭のなにかが違うのだ。
  • 彼とは地元のゲーセンでクイズマジックアカデミーをプレイしたり、青春18きっぷで旅をした(これは以前少し書いた)中だ。高校2年のとき、学園祭でクイズ大会に一緒のチームで出場したことがある。『チーム東大』というようなチーム名で。当時おれはすでに志望大学を早稲田にする心積もりをしていたから、インタビューでもその旨を話した。
  • 東大⇒頭いいという連想だったのだろう。ということは、自慢ではないのだが俺は周りから「頭いい」「勉強できる」という印象を持たれていたということだろう。あの中に東大志望は果たして何人いただろうか。少なくともあいつは東大志望で、俺より頭がよっぽどよかった。
  • クイズ大会は優勝した。
  • これからの俺と彼。しのぎを削る間柄になるはずだ。好意的に、お前には負けないぞ、と。東大への、複雑なコンプレックスがないまぜになって。あいつは何になるんだろう。さけもいる。幼馴染からも吉報があった。上京した俺たちで世の中で何かが出来ればいい。動かしてもいい。